YouTubeを見ていて、バックハウスの動画を見つけました。
昨年の1月に公開されたようなので、既に存知の方も沢山いらっしゃるかも知れませんが...
演奏しているのはベートーベンの4番のコンチェルト、伴奏はK.ベームが指揮するウィーン交響楽団です。
実況録音ではなく、スタジオでの録音(録画)ですが、収録日は不明です。
YouTubeのコメントには3楽章のカデンツァはバックハウス自身の作曲とありますね。
Beethoven Piano Concerto No 4 G major Wilhelm Backhaus Wiener Symphoniker Karl Bohm
バックハウスと言えば、当時はケンプと並んでドイツを代表するピアニスト、いや、当時の世界のピアニストの中でも5本の指に入る巨匠で、鍵盤上の獅子王とも呼ばれた人でした。
ちなみに、バックハウスもケンプも、ファーストネームはどちらもヴィルヘルムですね。
高校生の頃には最晩年の実況録音がFMで放送されたこともあり、当時の粗末なFMラジオで、多分今の100倍以上、真剣に聴いたものでした。
ケンプは日本が好きだったようで、何度も来日していますので、幸いにも実演を聴くチャンスがありました。
東京文化会館でベートーベンのコンチェルト全曲を二夜にわたって演奏されましたが、そのうちの前半(1~3番)を聴くことが出来ました。
伴奏は外山雄三の指揮で、オーケストラはN響だったか...
ケンプは当時すでに70歳を過ぎていたと思いますが、矍鑠とした足取りで、演奏もしっかりとしていた記憶があります。
...で、バックハウスの話でした。(^^ゞ
バックハウスは昭和29年(1954年)に来日しているようですが、当時5歳ですから知る由もありません。
レコードやFM放送で音は聴いていますが、実際にピアノを弾いている姿を見たことは有りませんでした。
それがこうして半世紀以上経ってから実際に弾いている姿を見られるとは...考えてもみませんでした。
そして大好きだった指揮者ベームの往年の姿も見られて、感動ものでした。便利な世の中になったものです。
実は、ベートーベンの4番のコンチェルトは、同じベームの指揮、オーケストラはウイーンフィルで、実況録音をエアチェックしたテープが残っています。
テープに録音したのは1973年とメモにありますが、演奏されたのはそれよりずっと以前で、自分ではエアチェック出来なかったものを高校時代の友人S君のところでダビングさせて貰ったものです。
そこで、埃を被ったこのテープを引っ張り出してきて、上のビデオで見たバックハウスの牽いている様子を想像しながら聴いてみました。
録音はモノラルで、FM放送をアナログ録音(当時は当然デジタルなんて有りません)したものの更にダビングですから、音質は推して知るべしですが...
最初にコリオラン序曲が演奏され、次の4番のコンチェルトとの間に(柴田南雄さんと思われる声の)解説が入っていて、5月22日のウィーン音楽祭開幕のコンサート、場所は楽友協会大ホールとありました...が、肝心の年が判りません。
そこで、インターネットでいろいろと調べて見たら、1966年5月22日と判りました。
当夜のプログラムの最後はベートーベンの交響曲第5番「運命」で、これも同じテープに入っています。
で、4番のコンチェルトですが...
オーケストラが変われどピアニストと指揮者が同じですから、ほとんど同じ演奏で、第1楽章と第3楽章のカデンツァも同じでした。(完璧に同じかどうかまで聴き分ける耳は持っていませんが...)
演奏時間を比較して見ましょう。
第1楽章 (うちカデンツァ) 第2楽章 第3楽章 (うちカデンツァ)
ウィーン交響楽団 17’48”(3’03”) 4’32” 10’39”(1’18”)
ウィーンフィル 17’48”(3’04”) 4’21” 10’26”(1’16”)
第1楽章は全く同じですが、曲が進むにつれてウィーンフィルの方がやや速いテンポになっています。
これは生演奏ならでは、興が乗って来たためでしょうか...
第3楽章のカデンツァ出だしでは、オーケストラが鳴り終える前にバックハウスが弾き始めているところからも、そんな風に感じました。
YouTubeには未だ未だ沢山の貴重な演奏があるようで、発掘するのが楽しみです。
さて、写真帳なので最後に写真を1枚。
記事とは全く関係が有りませんが...
4番のコンチェルトの作品番号にちなんで...
更に、個人的な感想ですが、第1楽章は何故か春から初夏のイメージがあるので、この写真にしました。(既にHPに掲載済みですが、再スキャンして掲載です)
![]()
陸羽東線 鳴子~中山平 1793レ C58228+C58328 1972年6月10日撮影