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デジタルカメラによるフィルムの複写、考察

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 以前にもご紹介しましたが、フィルムのデジタルカメラによる複写のセットアップ、コピースタンドを使った方法です。皆様のご参考になれば幸いです。

 135フィルムはES-2のストリップフィルムホルダーを、120フィルムはフラットヘッドスキャナーの付属品を使用、これらをライトボックスの上に直置き、カメラはD500(DX)でライブビュー撮影、ピント合わせはAFでワイヤレスでレリーズ、ISO100で絞りF9は固定、Aモード(絞り優先モード)で撮影しています。(シャッタースピードは1/3秒から1/30秒程度です)

 カメラとフィルムの正対調整は、カメラを一番下まで下げてライトボックスとの隙間を目視確認、水平方向左右はカメラを振って調整、水平方向前後はカメラとスタンドの間に紙を入れてアオリ調整しています。(人間の眼は意外と正確です)
 外光の影響は、フィルム面に室内の照明が直接入らなければ大丈夫ですが、一応電気は消しています。窓のカーテンは開いています。

 135フィルムを複写するとき
 (カメラ上面の液晶には上記と異なった設定が見えていますが、セット前の状況です)


 120フィルムを複写するとき



 以下はフィルムをマクロレンズを使ってデジタル複写するときの精度についての考察です。フィルムの平面性やカメラとの正対調整の目安になれば幸いです。

 被写界深度は皆様ご存知のように、

 ・撮像素子サイズが小さい方が深度は大きい(深い)、従ってAPS-C>フルサイズ
 ・絞りを絞った方が深度は大きい
 ・撮影倍率が小さいほど深度は大きい(遠くを撮ると深度は大きい)
 ・レンズの焦点距離が短いほど深度は大きい
  ・・・

となります。

 従って、フルサイズカメラで135フィルムを等倍でコピーするときが、被写界深度は一番小さく(浅く)なります。

 絞りを絞るほど被写界深度は深くなりますが、一般的にレンズの性能は開放から2~3絞り絞ったところで最高の性能となるので、絞りすぎても良くありません。回折の影響が現れる可能性があります。

 WEB上の計算サイトはマクロ撮影には向いていないとのことで、自分で計算シートを作ってみました。但し、幾何光学の薄肉レンズの公式での計算(一部実測値を代入)なので、未だ誤差が有ると思いますが、目安にはなると思います。
 使用レンズは60mmマクロ、135も120もフィルムの上下が撮像素子の上下一杯になる倍率での複写、最小錯乱円の直径は撮像素子対角線長の1/1500で計算しています。



 計算の結果、絞りF9の時の被写界深度は(単位mm)

 フィルムサイズ  FX(フルサイズ)   DX(APS-C)
    135      0.13      0.42
    120       2.18       3.76

となりました。

 以下考察

 ES-2のストリップホルダーは良く出来ていて、135フィルムをしっかりと保持してくれるのでフィルムの平面性にはほぼ問題が無いと思います。正対調整の精度はES-2を使えばメカ精度が0.1mmというような大きな値では無いと考えられるので、フルサイズで135フィルムを複写するときはES-2のセットをそのまま使うのが良いと思われます。

 120フィルムを複写する時はフィルムの平面性が気になりますが、余程酷いフィルムで無い限り2mmも凹凸がある訳は無く、正対調整も含めてですが被写界深度的には問題無さそうです。自分はフラットヘッドスキャナーの付属品を使っていますが、今のところ問題ありません。
 平面性を確保するためにはノングレアガラスでサンドイッチするのが理想ですが、今度はニュートンリングの問題が出て来そうです。(実際に確認はしていませんが、過去の経験から)

 APS-Cカメラを使うと135フィルムを1.5倍まで、120フィルムを約3.5倍まで拡大撮影(トリミング)出来ます。
 コピースタンドを使えばこれを連続的に行えるのでトリミングは自由自在です。
 但し、拡大すると被写界深度は狭くなり、最大まで拡大するとフルサイズで135フィルムを複写した時の深度と同じになります。

 写真が無いのも寂しいので、上記の方法で複写した写真を一枚。

 9526レ、EF8195+EF651118(DH)
 2002年3月30日撮影、原板は67ポジ(RHPⅢ)



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